『トリツカレ男』いしいしんじ

トリツカレ男 (新潮文庫)

トリツカレ男 (新潮文庫)

何かに夢中になるとそればかりにかかりっきりになってしまって、そのトリツカレ方が尋常じゃない彼が、ついにトリツカレルものが何であるかを予想できなかったのは、若さを失ったゆえであるような気がして、非常に残念でございます。はぁー。
小品ですが、やっぱりいい話。



積まれた本(3)へ続く。


 『マクベス』シェイクスピア 訳:福田恆存

マクベス (新潮文庫)

マクベス (新潮文庫)

「女の産み落とした者のなかには、マクベスを倒す者はいない。」という預言に惑わされて犯行を重ねるマクベスですが、恐れていたマクダフに「このマクダフは月たらずで母の胎内からひきずりだされた男だぞ」と言われて、殺されてしまうお話。かわいそうにね。
ジョジョの奇妙な冒険』で、弟ボインゴの預言を信じて爆発しちゃったオインゴ兄ちゃんみたい。


 『結婚式のメンバー』カーソン・マッカラーズ 訳:村上春樹

結婚式のメンバー (新潮文庫)

結婚式のメンバー (新潮文庫)

村上柴田翻訳堂より。
12歳の少女の話で、わたしはこんな気持ちになったことないなーと、違う星の女の子の話みたいに読みました。あの頃のわたしは、何も見てなかったな、と思う。まあ今もですけど。


 『暗闇坂の人喰いの木』島田荘司

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

死体が、三角の屋根に跨った姿勢だったことの原因が解明されたときにはのけぞりましたけれども、そんなことある!?などと、島田荘司を読むなら思ってはいけません。書いてあるのだからあるのです。
作中に出てくるスコットランドの旅の場面が好きです。


 『アトポス』島田荘司

アトポス (講談社文庫)

アトポス (講談社文庫)

971ページの長編の、御手洗潔の登場シーンを楽しみに待ちわびていたのですが、それがあまりに遅くて、出てきたときにはもう読み疲れていました。遅いよ、御手洗っ!
いくつかのストーリーが並んで進行するのですが、そのすべてに読みごたえがあるのは島田荘司の得意技。しかし、ひとつの作品でこんなに密なストーリーを読ませてもらって満腹感たっぷりなのにそれでも、石岡君がいないとやっぱり物足りないと思ってしまうのは、すでに島田荘司ファンなのでしょう。


 『ジュリアス・シーザー』シェイクスピア 訳:福田恆存

ジュリアス・シーザー (新潮文庫)

ジュリアス・シーザー (新潮文庫)

舞台では、シーザー亡き後の、ブルータスから続くアントニーの演説の場面が見所でしょうか。たやすく煽動されてしまう市民の姿は、いつの時代のどこの国の民にも示唆を与えてくれるものと思います。
シェイクスピア作品は何を読んでも楽しめますが、本作は政治劇というわかりやすい内容だからか、いくつか読んだシェイクスピア作品の中でも、わたしはかなり好きです。


積まれた本(2)

読み終わった本は、しまわずにいったん机の上に置いておいて、感想文を書いたら棚に戻す。
ことにしているのですが、わたしはいつまで経っても感想文を書かない。だから机の上にどんどん本は積み上げられて、二列になってなお一冊も減らず、もういいかげん机の上をすっきりさせたい衝動に駆られた、まさにこの時に、ずらっとコメントで済ませてしまうことにします。
の2回目。