『哲学者の密室』笠井潔

哲学者の密室〈上〉 (光文社文庫)

哲学者の密室〈上〉 (光文社文庫)

哲学者の密室〈下〉 (光文社文庫)

哲学者の密室〈下〉 (光文社文庫)

同じ作者の作品を読む場合、どうしたって前に読んだ作品と同等かそれ以上の楽しさを期待するものですが、前に読んだ『バイバイ、エンジェル』が良すぎたので、やはり超えることはなかったという感想になってしまうのが、心苦しい限りです。この作品も大変おもしろかったのに。
ただそのこととは別に。
作中の登場人物が過ごしたそれぞれの時間の中で、わたしはハンナの死の前の2週間が、誰のどの時間よりも濃密で哲学的であるように感じたので、その2週間の記述がなかったのが残念でした。笠井潔の筆で読みたかった。