オーマイゴッド 

u-book2009-01-25


ひさしぶりに肌に合わない作品を読みました。わたしはもともと女性作家の作品をあまり好まないのですが、そうは言ってもたまには女性的な視点に触れることも必要じゃないかと思うので、気が向いたときには意識的に手にすることにしています。そしてだいたい、あーやっぱり好きじゃないなぁと思うのですが、この作品はまた一段と肌に合わなかった。川上弘美の『センセイの鞄』の次に読んだのですが、まさかこちらの主人公も「先生が好き」とは。おかげで連続で「先生が好き」な人の物語を読むことになってしまいました。『センセイの鞄』がよかったので、油断していたのでしょう。また女性作家を選ぶとは。

主人公の工藤泉は、卒業した高校の葉山先生に想いを寄せています。ところが葉山先生はある事件が原因で誰かを深く愛せなく(少なくとも表面上は)なっています。その事件のことをなぜか生徒である工藤泉には明かすのです。「僕は誰よりも君を信頼している」と言って。この時点(早くも28項)で、わたしは葉山先生を見限りました。わたしならこの人は絶対信用できない。
そして工藤泉が葉山先生を諦めると決めて付き合うことにした小野君。これがまたひどい。泉が葉山先生のことを好きだということを知っている彼は、最初こそ寛大な優しさを発揮しているのですが(なかなか好青年です)、付き合い始めてからだんだんと泉に対する不信感と不安が膨張していって(まあ、ここまでは仕方ありませんね)、泉の体を強引に求めはじめ(最大限考慮すれば仕方ないと思うこともできます)、ついには、見知らぬ男に後をつけられて、怖くて公衆電話から助けを求めてきた泉に対して「もしも俺が迎えに行くって言ったら、もっと俺のことを好きになってくれる?」と言います。そりゃないだろ。ワンアウトでも問答無用でチェンジ。
そして主人公の工藤泉ですが、上記の男性二人のように腹立たしい言動があるわけではないのですが、読んでいてもいっこうに彼女を好きになれないのです。残念ながら。いや、もしかしたらわたしが好きになれないのは彼女ではなく、彼女が好きな葉山先生なのかもしれませんが、判断の難しいところです。

そして結末。これがまた、個人的にはもっとも受け入れがたい終わり方をしている。オーマイゴッド。



まあ、たまにはいいでしょう。

<'09.1.23. 野上書店にて>






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