2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

 <伊坂幸太郎月間>『重力ピエロ』vol.2

「この本は、僕にとってすごく大事な作品で、たぶんずっとそうです。」と作者は言ったようですが、もしわたしが伊坂幸太郎だったら(ここまで読んだ8作品の著者だったら)、同じことを言ったかもしれないと思えます。これを書いてしまったら、大事な作品だと…

 <伊坂幸太郎月間>『重力ピエロ』vol.1

レイプ。ひどく軽薄で悪質な響きです。世の中のどこかでそれが起きようとしているとき、地球ごとひっくり返ってくれないかと思ったりもします。地球がひっくり返ってみんなが逆さまになったり、突然夏が冬になったり、朝が夜になったりしても、「これは誰か…

 <伊坂幸太郎月間>『重力ピエロ』vol.0

伊坂幸太郎月間にすると決めたとき、もう一度読みたいとまず最初に思った作品です。『重力ピエロ』。ところが買って一度は読んだはずの本が、探しても探してもみつかりません。誰かに貸したままになっているのかと思ったら、どうやらそうなっているであろう…

 <伊坂幸太郎月間>『グラスホッパー』

最初に読んだとき、ああ、おもしろいな。と思ったことを覚えています。だからわたしはまたこれを読むのをとても楽しみにしていました。楽しみにとっておいたのです。ところが二回目の今回、残念ながら同じような楽しさを味わうことはできませんでした。こう…

 <伊坂幸太郎月間>『アヒルと鴨のコインロッカー』

まず、わたしは河崎君に同情できない。こういうところ、わたしは本当にだめなのです。小説だろうがなんだろうが、セックスに対する彼のような無責任さをわたしは許すことができません。 若々しい正義感や、爽やかだけれど切ない友情、心の大事な場所に隠して…

 <伊坂幸太郎月間>『陽気なギャングの日常と襲撃』vol.2

大ヒット映画のパート2はおもしろくないことが多いですが、この作品にもそれに通ずるところがあるように思います。ストーリーの大きさが、彼らの手に余る。そう感じました。 前作では横取りされた金を奪い返すというあらすじでしたが、今回はお金を奪うこと…

 <伊坂幸太郎月間>『陽気なギャングの日常と襲撃』vol.1

『陽気なギャングが地球を回す』の続編です。 人の嘘がわかるリーダーの成瀬、口八丁のでたらめ響野、クールなドライバー雪子、スリ名人の久遠。相変わらずの4人です。 この作品は第一章と第二章に別れていて、第一章は、彼ら4人をそれぞれに主人公とした短…

 <伊坂幸太郎月間>『陽気なギャングの日常と襲撃』vol.0

せっかく『陽気なギャングが地球を回す』を読んだので、彼ら4人のキャラクターや過去の情報を忘れないうちにやはり続編は早いうちに読んだほうが得策だという結論に至りました。 ところで。 『陽気なギャングが地球を回す』は文庫判サイズなのに、この『陽気…

 <伊坂幸太郎月間>『陽気なギャングが地球を回す』vol.2

作者があとがきで書いているように「四人の銀行強盗が出てきて、わいわいがやがやと喋りながら、騒動に巻き込まれていく話です。」(378項) 軽快ですね。この作品が一番読ませるのは「会話の掛け合い」じゃないかと思います。ポンポンポンポンとよくもまあ…

 <伊坂幸太郎月間>『陽気なギャングが地球を回す』vol.1

読書というのは不思議なもので、つい最近読んだ本が今読んでいる本の中に登場する偶然が、けっこうな確率で起こります。 ここでは『カラマーゾフの兄弟』が出てきました。先月二回繰り返して読んで、未だ興奮冷めやらぬうちの再会です。世界の傑作。それにし…

 <伊坂幸太郎月間>『魔王』vol.1

実家で母の帰宅を待っている間に読み終わってしまいました。帰りの新幹線で読む本がなかったので、大好きな BUMP OF CHICKEN の『ロストマン』を延々一曲リピートしながら帰ってきました。 ただいま。 今月の<伊坂幸太郎月間>は、ある知り合いの男性が、現…

 <伊坂幸太郎月間>『魔王』vol.0

これから、母親のタツコさんのお誕生日祝いをしに、実家の名古屋へ帰ります。新幹線の中で読むのは『魔王』。 ではいってきます。

 <伊坂幸太郎月間>『ラッシュライフ』vol.2

読み終わりました。 なるほど。こういう小説もあるのか。ふむ。 大きく分けて、五つのストーリーがあります。まず、泥棒を生業とする「黒澤」のストーリー。リストラの憂き目にあった「豊田」のストーリー。権力者からの庇護を選んだ画家「志奈子」のストー…

 <伊坂幸太郎月間>『ラッシュライフ』vol.1

『オーデュボンの祈り』に続く、デビュー二作目。 わたしはつい最近まで知らなかったのですが「春樹チルドレン」と称される作家がいるのだそうで、伊坂幸太郎はその代表格に見なされているようです。 なるほど、『オーデュボンの祈り』ではわたしは何度も何…

 <伊坂幸太郎月間>『オーデュボンの祈り』vol.4

読み終わりました。物語を簡単にご紹介。 コンビニ強盗をして警察から逃げてきた主人公の伊藤は、見たことも聞いたこともない場所「荻島」にやってきます。その島には未来のみえるカカシ「優午」がいます。しゃべるカカシです。島で何か起きれば、優午がすべ…

 <伊坂幸太郎月間>『オーデュボンの祈り』vol.3

「人が人を裁けると思うか」という桜の問いに対して、主人公の伊藤は「思う」と答えます。 「思う」これは僕の本心だった。死刑や刑罰の問題が起きるたびに持ち出される「人が人を裁いて良いのか」という主張が嫌いだった。何人殺しても死ななくて良い、とい…

 <伊坂幸太郎月間>『オーデュボンの祈り』vol.2

まだ、半分です。この作品の中には「桜」というキャラクターが出てきます。イントネーションは「上原さくら」のサクラではなく、まさしく木の「桜」と一緒。「桜」。人殺しです。そうでなかったら、「法律、ルール、規則、倫理と道徳(76項)」。桜の基準で…

 <伊坂幸太郎月間>『オーデュボンの祈り』vol.1

この作品の中に「城山」という男が出てきます。警察官です。前に読んだとき、わたしはこの男に吐き気を覚えたのですが、ずっとあとになった今でもその吐き気は記憶として残っていました。二度目なら少しは緩和されるかという期待もあったのですが、やはり吐…

 <伊坂幸太郎月間>

五月は<伊坂幸太郎月間>です。しばらく現代作家の作品からは離れていましたが、五月は伊坂幸太郎を読むと決めました。先日初めてお食事をご一緒させて頂いた方が、好きな現代作家のNo.1に伊坂幸太郎を挙げていたので、わたしもまた読んでみようと思ったの…