2011-01-01から1年間の記事一覧

 『クリスマス・カロル』ディケンズ 訳:村岡花子

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第12回課題本。 ちょっと時期が遅れてしまいましたが、今年最後の更新にはいい本だったなと思っています。『クリスマス・カロル』。 特に書くべきこともないのですが、また来年のクリスマスにもこの本を読みたいと…

 『幻影の書』ポール・オースター 訳:柴田元幸

ひさしぶりにポール・オースターを読みました。現代作家でわたしが今いちばん好きな作家です。最後に読んだのは『オラクル・ナイト』だったと思います。『幻影の書』は『オラクル・ナイト』のひとつ前の作品なので、わたしは発刊とは逆の順番で読みました。 『…

 『贋作【坊っちゃん】殺人事件』柳広司

本家本元、夏目漱石の『坊っちゃん』が、わたしはとても好きです。軽快なリズムで読者の視線をそよ風に乗せてしまうあの文章がとても好きです。 『贋作【坊っちゃん】殺人事件』は、その『坊っちゃん』と同じ一文で始まります。「親譲りの無鉄砲で小供のとき…

 『エデンの東』ジョン・スタインベック 訳:土屋政雄

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第11回課題本。ハヤカワepi文庫で4冊の長編です。 長い物語を読もうというときには「つまらなかったらどうしよう」という当然の心配があります。つまらない小説が長いということほど残念なことはありません。『エデ…

 『レ・ミゼラブル』ユゴー 訳:佐藤朔

再読でした。が、うるうるしながら読みました。 大作である、ということだけでもわたしはいくらかおごそかな気分にさせられるのですが、この小説には大作であるという以上の、あるいは以外の、「大きさ」があって、わたしは読んでいる間ずっと、その大きさに…

 『モモ』ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第十回課題本。 すっごくいい小説でした。この本を読んで、わたしは自分の生活の「いまこの瞬間」に、ワクワクすることを覚えました。 それは、このなぞなぞを、モモと一緒に解いたからです、きっと。 三人のきょう…

 『草枕』夏目漱石

とても有名な冒頭をわたしは知りませんでした。 山路を登りながらこう考えた。 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。 住みにくさが高じると安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟っ…

 『百年の孤独』G・ガルシア=マルケス 訳:鼓直

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第九回課題本。もともとは6月の課題本だったのですが、大作なので(長いので)、6・7月の課題本ということにしてくださいと押し切って、しかし感想文は書けないまま月日は8月に入ってしまった次第です。学生のとき…

 『行人』夏目漱石

今この目の前にある光景を、今ここに沸き起こってきた感情を、言葉で伝えるにはどうしたらいいだろうと思ったとき、言葉では到底無理だという諦めをひっくり返してくれるのは、ああやっぱり漱石の文章なのだという喜びが、漱石の作品には常にあるのですが、…

 『モーツァルトは子守唄を歌わない』森雅裕

第31回江戸川乱歩賞受賞作。東野圭吾の『放課後』と同時受賞だそうです。わたしは東野圭吾という作家はまったく好きじゃない(というのは、要するに嫌い)ので、こっちのがおもしろかったらいいなと思って読んでいました。そして読み終わったときに、さてど…

 『ヴィヨンの妻』太宰治

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第八回課題本。ようやく一週間遅れまで追いついて、こちらは5月の課題本です。 短編集。自分で選んでおきながら、書きたいことがあまりありません。「ああ、いったいこの先はどうなるのだろう」という次頁への期待…

 『堕落論』坂口安吾

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第七回課題本。前回よりひと月追いついて、こちらは4月の課題本です。わたしにとっては初の坂口安吾ではなかろうかと思います。 昔読んだCLAMPの漫画『東京BABYLON』の中に、桜の花がピンク色なのは下に死体が埋ま…

 『ガープの世界』ジョン・アーヴィング 訳:筒井正明

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第六回課題本。は、月をふたつ跨いでしまいました。3月の課題本です。 再読だったのですが、例によって例のごとく、前に読んだときよりも断然楽しく読みました。思うに、時代を経てなお名作として語り継がれる小説…

 『リア王』シェイクスピア

こちらもだいぶ前に読み終えて、何を思ったかすっかり忘れてしまいましたが、今までに読んだことのあるシェイクスピアの作品の中で最も、「劇」で観てみたいと思いました。どの場面も舞台映えするように感じられます。

 『探偵伯爵と僕』森博嗣

だいぶ前に読み終えて、何を思ったかすっかり忘れてしまいました。ただ、少年が殺されるよりも、少女が殺されたほうが、多くの人にとって事件がより悲惨に思えるとしたら、それはなんでだろう、と思ったことだけ覚えています。 なんでだろう。

 『ぼくのメジャースプーン』辻村深月

「Aという条件をクリアできなければ、Bという結果が起こる」 これが「ぼく」の持っている力です。この言葉を囁くことで、「ぼく」は相手とゲームを始めることができます。相手がAをクリアすればBは回避されるけれど、Aをクリアできなければ必ずBという…

 『虞美人草』夏目漱石

『坑夫』を読んでおもしろかったから、次に『春』を読んだけどおもしろくなかったので、今度は遡って『虞美人草』を読みました。おもしろかったです。 みんなは小学生の頃に学校でやったことで、いちばん得意だったことは何だったでしょうか。わたしは国語が…

 『僧正殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン 訳:日暮雅通

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第五回課題本。 山田正紀の『僧正の積木唄』を読んだときに、本家の『僧正殺人事件』も読みたいと思ったのをすっかりすっからかんに忘れていたのが、ここで課題図書に取り上げられて喜んだときにはもう、『僧正の積…

 『春』島崎藤村

前に読んだ夏目漱石の『坑夫』は、本来であれば島崎藤村の『春』が朝日新聞に連載される予定だったところを執筆が遅れていたために、その埋め合わせで書かれたのだそうです。それを知ったら、じゃあ『春』を読んでみようという気になるじゃありませんか。 も…

 『坑夫』夏目漱石

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第四回課題本。もちろんわたしが選びました。すごく読みたかったんです。 今この目の前にある光景を、今ここに沸き起こってきた感情を、言葉で伝えるにはどうしたらいいだろうと思ったとき、言葉では到底無理だとい…

 『シャーロック・ホームズの冒険』コナン・ドイル 訳:延原謙

シャーロック・ホームズのシリーズを全部読んで、わたしの好きな作品ランキングとその理由を書くことを、いつかの楽しみにして繰り返し読んでいます。 『シャーロック・ホームズの冒険』は全10作品。以下、いつかの楽しみのための参考として。 ボヘミアの醜聞…

 『モルグ街の殺人事件』ポー 訳:佐々木直次郎

史上初の推理小説とされる『モルグ街の殺人事件』を表題とした5作品の短編集。 以下、事件の解答について触れるのでご注意ください。 『モルグ街の殺人事件』 素人探偵、オーギュスト・デュパンの登場です。どこからどうみてもシャーロック・ホームズの元型で…

 『忠臣蔵』森村誠一

長い間この本棚を見てくれている友達には驚かれるかもしれませんね。わたし、森村誠一さんが書いたこの『忠臣蔵』が大好きなんです。最初に読んだのは大学生のときでしたが、そのときから現在に至るまで、小説を読みながら涙を流して本当に泣いたのは、たぶ…

 あけましておめでとうございます

2010年に、大きな(たぶんとても大きな)変化がありました。年末はそのことを考えていました。 わたしは日常的に本を読むのですが、熱心な読書家ではないと思っています。読む本の冊数が多くはないし、あと、読書をしている時間が楽しいと思っているわけでも…