2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

 『黒猫館の殺人』綾辻行人

綾辻行人の館シリーズ3作品目の読書。「黒猫館」というのが言いにくくて(ここにきて白状しますが、わたしはかなりの舌足らずです)、ずっと「ネコネコ館」と呼んでいたせいで、すっかりネコがいっぱいいたような錯覚に陥っています。しかし、よく考えてみた…

 『さよなら妖精』米澤穂信

悪い小説じゃないと思うけれど、あるいは読み終わってから時間が経ってしまったからかもしれないけれど、あるいは途中からヨーロッパ現代史の復習をしている気分になってきたから、あるいは戦争の話が重苦しくてきちんと読むことから逃げたから、あるいは今…

 『MOMENT』本多孝好

『世界の中心で愛を叫ぶ』の片山恭一、『いま、会いにゆきます』の市川拓司、彼らと同種の作品を書く作家なのだという印象があって、手を出す気になれずにいたのですが、先入観は払拭されました。 元来が疑り深いねじ曲がった性根のわたしは、『MOMENT』も「…

 『密閉教室』法月綸太郎

法月作品2作目。1作目は短編集でしたが今度は長編。長編であるということを除いても、1作目とはずいぶん趣が違います。主人公が高校生だからかもしれません。大人の渋さがありません。でも、このリーダビリティはさすがだと思います。何を書いてもやっぱり法…

 『エディプスの恋人』筒井康隆

ふたつ前の感想文にコメントをくれたまゆるんから「小説にもとめること」という言葉をもらって、さて、わたしはなんだろうかと考えて「文章力」だとひとまずの結論を出したのですが、考えれば考えるほど、その回答は事実に即しているように思われます。登場…

 『子どもたちは夜と遊ぶ(上・下)』辻村深月

釈然としません。 誤解を恐れずに言えば、夢中になって読みました。「誤解」と付け加えるのは、おもしろくて夢中になったのではなくて、はやく結末にたどり着きたいがために集中したからです。こういう言い方は「つまらなかった」というようにも聞えるかもし…