2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 『犯罪ホロスコープ1―六人の女王の問題―』法月綸太郎

星座を軸にした6編の連作短編集。犯罪ホロスコープ「1」とあって、牡羊座から乙女座までが書かれているから、当然「2」もあるのだと期待しています。なんといってもわたしは「魚座」ですので。 志し半ばで頓挫した「ミステリー年間」で、わたしは自分では…

 『夏と冬の奏鳴曲』麻耶雄嵩

さて、何から書きましょうか。麻耶雄嵩の『夏と冬の奏鳴曲』。しかしこの『夏と冬の奏鳴曲(ソナタ)』という題名は、めちゃくちゃにいいですね。作中に「春と秋の奏鳴曲」が出てきたときには、胸が高揚しました。物語の内容に沿っているだけでなく、全体の…

 『天冥の標1』小川一水

だいぶ以前からSFを読みたい読みたいと思っていて、でも、何がおもしろいかわからず、ハズレを(わたしにとっての、ということですが)引き当てるのも嫌で、ひとまず手を出さずにいました。古典であれば、おもしろいか否かに関わらず、とりあえず読んでみよ…

 『偶然の音楽』ポール・オースター

再読ですが、まさか「この小説こんなにおもしろかったっけ・・・」と思うとは思ってもみませんでした。ポール・オースターの『偶然の音楽』。もちろん、前に読んだときもおもしろかったのです。好きな作家は?と聞かれたら、わたしはポール・オースターの名前…

 『月と六ペンス』モーム

ポール・オースターの『ムーン・パレス』に、洞窟の中で絵を書くシーンがあるのですが、この作品にも、洞窟でこそありませんが、孤独な中で絵を描くシーンがあります。自分の暮している部屋の壁一面に絵具を塗りつけるのです。『ムーン・パレス』では、絵を描…

 『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド

美しい日本語だなと思う小説にはこれまでにも(その数は決して多くはないけれど)いくつか出会ったけれど、その日本語よりも、あるいはその日本語ではなく、そこにある情景や状況が美しいという小説はちょっと他に思いつきません。 ある場面がそこにあって、…