2009-01-01から1年間の記事一覧

 <『われらが歌う時』月間>読了。

年内に読み終えることができて本当によかった。年内に感想を書きたかったから。 上巻の冒頭にあった「グランドピアノのくぼみに身をもたせている」というシーンがわたしはとても好きで、ひと月前となってしまった前回の記事にもその箇所を引用しているのだけ…

 <『われらが歌う時』月間>『われらが歌う時 上』

この本を読むのを、とてもとても楽しみにしていました。お友達のid:huyukiitoichiさんが、わたし宛てにオススメしてくれた本です。もちろん、わたし宛て、というのがポイントね。わたしへのオススメにこの本を挙げてもらったとき、ああそういえばこの本はhuy…

 <館月間>『翼ある闇』

月が変わってしまいましたが館月間、最終です。麻耶雄嵩の『翼ある闇』。現代ミステリー作家の中でも稀有の才能の持ち主だと教わりました。 いやあ、すごかった。誰が犯人なのかを追うことよりも、事件そのものがわたしには魅力的でした。連続して見つかる惨…

 <館月間>『斜め屋敷の犯罪』

館を舞台にしたミステリーを読もう月間。やっぱこうでなくちゃね。斜め屋敷は、すてき屋敷でした。 前に読んだ「水車館」と「ガーストン館」は、舞台というほどの役割はなくて、ほとんど背景というくらいにしか活躍しなかったけれど、この斜め屋敷こと「流氷…

 <館月間>『ウォリス家の殺人』

館にまつわるミステリーを読もう、月間です。さて、何を読もうかと本屋さんにて探し当てたのがこちら。D・M・ディヴァインという知らない著者の『ウォリス家の殺人』。あらすじに書かれていた「ガーストン館」という館の名前と、「2009本格ミステリ海外ランキ…

 <館月間>『水車館の殺人』

今月は館を舞台にした小説を読むことにしました。理由は、本屋さんで見つけた『水車館の殺人』を不意に衝動買いしたものの、衝動がおさまったあと読む気を失してしまい、しかし手元にあるのをいったいいつ読もうかというところで思いついたのです。<館月間…

 <約束月間>『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で―』

月が変わってしまいましたが、約束月間、最終です。水村美苗の『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で―』。発売されたとき(店頭に並んでいるのをみたとき)、とてもとても欲しいと思い、しかしそのときはなんとなく躊躇して買わなかったのを、読んだ人の感…

 <約束月間>『13』

ひどく元気の出ない夜でございます。こんばんは。このブログに自分の日常を書くことはあまりなかったように思うけれど、今日は元気の出ない夜です。泣きたい。こんな日はお風呂に入ってゆっくり泣いて、布団にもぐってからまたしくしく泣いて、そしてそのま…

 <約束月間>『ミスター・ヴァーティゴ』

id:huyukiitoichiさんとの約束です。ミスター・ヴァーティゴの感想文をわたしも書きます。 通して読むのは、3回目、かな。ポール・オースターはわたしの好きな作家ベスト10に間違いなく入るし、その彼の作品『ミスター・ヴァーティゴ』はわたしの好きな小説…

 <感想文月間>『坊っちゃん』

なんとかかんとかの企画に応募するはずだった感想文ですが、あっという間に締め切りが過ぎ去ってしまいましたので、字数も何も関係なく、のびのーび感想を書きます。 もうすでに言いましたが、それから言わないと『坊っちゃん』の感想は始められないし終われ…

 <感想文月間>『課題図書』

課題図書二冊を読みましたが、まったく感想まで追いつけず。というよりも、2ヶ月で二冊という、読書の段階から圧倒的な惨敗。あー。それこもこれもすべては、仕事用モバイルフィリップ君に届くメールのせいなのです。毎日毎日ブーブー鳴ってわたしをドキドキ…

 <課題図書月間>『坊っちゃん』

社長に出勤報告のメールを出す前に、一言だけ。 やっとこさ『坊っちゃん』を読み終わりました。がんばって読書感想文を書きます。イエス。当初の目的はまだ諦めていません。 でも。 書けるかなぁ。

 <課題図書月間>vol.2『坊っちゃん』

『車輪の下』の感想を書かないままに、『坊っちゃん』を読み始めています。おもしろいです。世の中にある小説の中で「軽快」であると評されたことのあるすべての小説に突きつけてやりたいです。軽快とはこういうことを言うのだと。 知的であることが、その文…

 <課題図書月間>vol.1

さまざまな全く歓迎していない気掛かりから逃れることができず、全然読書ができません。 あんまりにも腹が立つので、すべてを放り投げて、毎日ぜったいに本を読むと固く決心。 ハンス・ギーベンラートのように、勤勉に。 がんばれ、わたし。

 <課題図書月間>vol.0

なかなか読書が捗らないアライグマです。こんにちは。 もはや何月から始めたのだったか思い出せない(三月だっけ?)月間シリーズ。七月は著者名ではなく、初の試み。<課題図書月間>。 明治大学文学部 第一回読書感想文コンクール これにね、わたしも応募…

 <夏目漱石月間>『それから』vol.2

とうとう月を跨いでしまいました。昨日ようやく読み終えたような次第です。 ながーく時間をかけて読んだわりに、感想らしき感想もないので困ります。すごかった、という一言だけが一番素直な感想です。しかし、それだけではあまりにも感想文として貧しいので…

 <夏目漱石月間>『それから』vol.1

最初に読んだときに、なんとまあ。と感動した作品です。驚きに満ち溢れています。 日本語のレベルが違う。 夏目漱石について、何度も繰り返し言っていることだし、たぶんこれからも何度でも繰り返すのだと思うけれど、何度読んでもそう思います。日本語のレ…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.8

ようやく読み終わりました。あまりにもノロノロ読んでいたので、もう読み終えられないのではないかと不安になったくらいでした。読み終わってよかった。 物語に描かれた世界の時代こそ違うけれど、見事なまでの普遍性を感じます。景色も服装も町並みも交通機…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.7

三四郎、とうとう告白です。 画家の原口さんを三四郎は訪ねていきます。そこにはモデルを頼まれた美禰子がいることを三四郎は知っていました。 美禰子は三四郎に問います。 「今日何か原口さんに御用が御有りだったの?」「いいえ、用事はなかったです」「じ…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.6

夏目漱石月間、3冊読む予定ですが、10日が過ぎた今、まだ『三四郎』を読み終わりません。がんばります。 『三四郎』の中には、わたしにとって真実として定着してしまった一文があります。一度読んだときに目にしてから、完全に浸透してしまって、ことあるご…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.5

この月間シリーズを始める前に『三四郎』は読んだことがあって、前回もここに感想文を書いているのですが、その際に引用した文章とまったく同じ部分を、今回もまた引用します。あまりにも美しくって。 三四郎が美禰子の家へ来たシーンです。 すると奥のほう…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.4

三四郎が別段の用事もなく、広田先生のところを訪ねた場面です。 三四郎は近頃女に囚われた。恋人に囚われたのなら、却って面白いが、惚れられているんだか、馬鹿にされているんだか、怖がって可いんだか、蔑んで可いんだか、廃すべきだか、続けべきだか訳の…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.3

広田先生の引越しを済ませたところまで(103項)読みました。 誰かが誰かと知り合うことや、誰かが誰かと並んで歩くことや、誰かが誰かを会話をするという日常。そうした、ただそこにあるだけの事実が、夏目漱石の文体の上に乗るとアートになる。 野々宮君の…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.2

大学の講義に平均一週に約四十時間出席しているが物足りないと言う三四郎に、佐々木与次郎は「馬鹿々々」(40項)と言います。 「下宿屋のまずい飯を一日に十辺食ったら物足りる様になるか考えてみろ」(40項) と。 そして、物足りるようになるには「電車に…

 <夏目漱石月間>『三四郎』vol.1

6月は夏目漱石です。伊坂幸太郎を読んでいたら、すごく夏目漱石が読みたくなったのです。もちろん両者に関連性はまったくありません。 夏目漱石。わたしにとって、とっておきの作家のひとりです。もう少し後にするつもりでいたけれど、読みたくなったときに…

 <伊坂幸太郎月間>Final

全部で8冊読みました。読んだ順番は以下の通り。 『オーデュボンの祈り』 『ラッシュライフ』 『魔王』 『陽気なギャングが地球を回す』 『陽気なギャングの日常と襲撃』 『アヒルと鴨のコインロッカー』 『グラスホッパー』 『重力ピエロ』 少し無理をして…

 <伊坂幸太郎月間>『重力ピエロ』vol.2

「この本は、僕にとってすごく大事な作品で、たぶんずっとそうです。」と作者は言ったようですが、もしわたしが伊坂幸太郎だったら(ここまで読んだ8作品の著者だったら)、同じことを言ったかもしれないと思えます。これを書いてしまったら、大事な作品だと…

 <伊坂幸太郎月間>『重力ピエロ』vol.1

レイプ。ひどく軽薄で悪質な響きです。世の中のどこかでそれが起きようとしているとき、地球ごとひっくり返ってくれないかと思ったりもします。地球がひっくり返ってみんなが逆さまになったり、突然夏が冬になったり、朝が夜になったりしても、「これは誰か…

 <伊坂幸太郎月間>『重力ピエロ』vol.0

伊坂幸太郎月間にすると決めたとき、もう一度読みたいとまず最初に思った作品です。『重力ピエロ』。ところが買って一度は読んだはずの本が、探しても探してもみつかりません。誰かに貸したままになっているのかと思ったら、どうやらそうなっているであろう…

 <伊坂幸太郎月間>『グラスホッパー』

最初に読んだとき、ああ、おもしろいな。と思ったことを覚えています。だからわたしはまたこれを読むのをとても楽しみにしていました。楽しみにとっておいたのです。ところが二回目の今回、残念ながら同じような楽しさを味わうことはできませんでした。こう…