2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

 偶然

君に出会ったのは運命だったね そうじゃないと君は言う たとえ一瞬で恋に落ちたのだとしても 時間をかけて心を奪われていったのだとしても 選んだのは神様じゃなくて 決めたのは星のめぐりじゃなくて まわったのは歯車じゃなくて ドラマチックな偶然が運命に…

 アパート

外階段をカンカンと駆け上がる靴音ピンと張ったふくらはぎ 揺れるスカートの裾肩にかけたバッグの中 きこえる 鍵のついたキーホルダー 白いやかん 小さなコンロ こげ茶色の座布団 僕はあぐらをかいて君の後ろ姿を眺める 長い髪の先が小さく震えて蛇口から流…

 『生ける屍の死』山口雅也

一度死んだ人間が甦って、生きている人間と死んでいる人間が混在する世界。 「死者が甦る」と言われると、わたしは、死者の魂が生者の肉体を借りるというような現象か、あるいは亡霊やゾンビのような見た目が思い浮かぶのですが、この物語はどちらとも違って…

 未来

未来について語ろうと君が言った 月の上を歩きながら 地球で寝ている 君に メールを送ろうタイムマシンに乗って、幼い君のバラ色の頬に キスをしよう休日は自転車でふたり乗りの海中散歩 漂うクラゲでも眺めながら おそろいの歌を口ずさもう そんな未来はな…

 『ヴェニスの商人』シェイクスピア

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第二回課題本。 ヴェニスの若き商人アントーニオーは、友人バサーニオーの借金の保証人になって、高利貸しのシャイロックから大金を借ります。しかしアントーニオーの全財産はちょうどその頃、海を渡る船の上にあり…

 『はじまりの島』柳広司

地質学者(作品中では博物学者とされています)のチャールズ・ダーウィンを主人公にした作品です。ダーウィンは1831年から1836年にかけて世界一周旅行へと出掛け、後に『種の起源』を発表することになるのですが、その世界旅行の間に実は連続殺人事件に巻き込…

 夏

掬い上げた水を空にかざしてのぞいたら向こうで太陽の光 きらっと輝いて こっちに差し込んだ 夏の花を一輪 手にとって 差し込んだ光に そっとゆらゆら揺れる花 夏の 花 キラキラ 水 揺れる 光 掬い上げた水に夏の花を一房浮かべたら花は揺れずに 凛と咲いて …

 月

真っ暗な道をふたりで歩くとだんだんわたしたちの足元がぼやっと明るくなってきてそれはきっと見上げた空に浮かんだ月明かりのせいなんだ 真っ暗な道を君と歩いているとだんだん君の横顔がくっきりしてそれはきっと見上げた空に浮かんだ月明かりのせいなのか…