<伊坂幸太郎月間>『陽気なギャングの日常と襲撃』vol.2

u-book2009-05-20



大ヒット映画のパート2はおもしろくないことが多いですが、この作品にもそれに通ずるところがあるように思います。ストーリーの大きさが、彼らの手に余る。そう感じました。


前作では横取りされた金を奪い返すというあらすじでしたが、今回はお金を奪うことではなく、誘拐されたある女性を救い出だすことが、彼らの課題になっています。「種目が違う」とは作中で久遠が口にしたセリフですが、銀行強盗である彼らが誘拐事件に首をつっこむのは、まさしく「種目が違う」のではないかという気がしました。


わたしにとって、陽気なギャングの魅力は「陽気な会話の掛け合い」だと前の記事で書きましたが、彼らの会話をめいっぱい楽しむのには、登場人物が多すぎると感じたし、仕掛けも大きすぎると感じました。彼らの会話をめいっぱい楽しもうと思ったら、彼らそれぞれの特徴がしかるべきところで発揮されなければならないと思うのですが、今回は雪子の正確な体内時計や、成瀬の人間嘘発見機は、第二章においては特におとなしかったし、その分、響野と久遠の活躍は目立ったけれど、雪子と成瀬に比べるとドタバタしすぎて、一体感に欠けているという印象を受けました。と、偉そうなことを言っていると自分で気持ち悪くなってきますが、会話のいたるところにユーモアが盛り込まれているのは相変わらずなので、そしてそのおもしろさやテンションが前作と比べて劣っているとは思えないので、二作品を続けて読んだわたしがただ飽きてきただけなのかもしれません。読み終わってみれば、別の作品を間に挟んでからのほうが楽しめたのではないかという気がしています。もはやしかたありませんが。


ところでこれを機に『陽気なギャングが地球を回す』の劇場版を観ました。原作と全然違っていることに驚きました。ご覧になった方、いらっしゃるでしょうか。あれはロマンというよりは、ロマン、ス。ですよね?





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