『ハードボイルド・エッグ』荻原浩


10年前のわたしが読んだら「ちょー笑った。いい話だったよ」と言ったかもしれません。5年前のわたしが読んだら「うん、おもしろいし、よくできてると思う」と言ったかもしれません。3年前だったら「フィリップ・マーロウっ。」と言って喜んでいたかもしれません。しかし残念ながら、読んだのは現在でした。こういうストーリー展開やユーモアのある会話を楽しんで読んでいた頃の記憶が思い出されるだけでした。


この結果をもって、わたしの読書力が成長したととっていいのか、はたまたその逆だと捉らえるべきなのかよくわからないけれど、現在のわたしが読んで楽しいと思える本は、過去のわたしが読んで楽しいと思えた本よりも、そのときの最高の気持ちを比較しても、現在のわたしが楽しいと思える本のほうが、わたしはずっと大事に思えるし、これから先もずっとずっと大切に付き合っていきたいと思うので、やはりそれは、わたしと読書の関係が成長していると思っていいのではないかという気がします。気のせいかしらね。


でもどちらにしても、昔だったらおもしろいと思えたはずの本が、もう楽しめないのは、うん、ちょっと寂しいです。