『Yの悲劇』クイーン


一箇所だけ探すとしたら、ここ。

舞台人として名声の絶頂にあったとき、彼は、おびただしい讃辞と、それと同じ程度の嘲罵を浴びた。「全世界を通じて劇壇の第一人者」といわれるかと思うと、「この驚異に満ちた現代で、なお虫食いのシェイクスピアにとりついている敗残役者」とも言われた。しかし、彼は、これらの讃辞と嘲罵と、いずれも平然と聞きながし、行くべき道を知り、いるべき場所を知っている芸術家としての態度を崩さなかった。彼の不動の抱負と、貴い天職を果しつつあるとする無言の信念とは、新興芸術に毒されたいかなる批評家の毒舌も、これをゆるがすことはできなかった。


探さなかったら、引用したい箇所はなかったです。読み終わってからしばらくは、胃がムカムカしました。わたしは『Xの悲劇』のほうが好きです。