月


真っ暗な道をふたりで歩くと

だんだんわたしたちの足元が

ぼやっと明るくなってきて

それはきっと見上げた空に浮かんだ

月明かりのせいなんだ


真っ暗な道を君と歩いていると

だんだん君の横顔がくっきりして

それはきっと見上げた空に浮かんだ

月明かりのせいなのかもしれない けれど


君の心が私に向って 私の心が君に向って

少しづつ ほんの少しづつ 体温を

手渡しているせいじゃないかと 

思ったりしていたんだ


月の光と ふたりの体温

どっちが明るいだろう

月が明るくなるのと

互いの温度が伝わるのは

どっちが先だろう  


どっちでもいいから

どっちでもなくていいから

最後に見たいのは

暗くなくても見える光

暗闇に隠れない月と光