三四郎

三四郎



九州から東京に上京してきた、小川三四郎くんのお話。

夏目漱石という人は本当にすごい人だと漱石の作品を読む度に思うのですが、何度読んでもすごいものはすごいと、やっぱり思ったのであります。そして感心するところが多すぎる上に、それらはそれぞれに個性を持った一部分なので、「夏目漱石の『三四郎』はこうである」とひとまとめにすることができません。日本語というのは、かくも表情豊かな言語として扱うことができるのか、とただただ感心するばかりです。読書中には鳥肌が立つようなことも起こります。

すると奥のほうでヴァイオリンの音がした。それが何処からか、風が持って来て捨てて行った様に、すぐ消えてしまった。


肌で感じたことを言語に変換できる能力、わたしも欲しい。



夏目漱石著『三四郎』 新潮社>