フェイク

u-book2007-08-01



銀座の高級クラブで働くある若者の、カネに翻弄される話。

いや、違うな。

銀座の高級クラブで働くある若者が、カネに翻弄されている人たちに翻弄される話、ですね。



主人公の岩崎陽一は、入社一年目の新米ボーイ。安月給な上に長時間労働で、毎日せっせと下働き。そんな彼の働くお店に、ライバル店からひとりの「ママ」が移籍してきます。陽一と同年代の彼女の年収は約1億。そんなママから、陽一は個人的にある仕事を依頼されます。もちろん高額な給料で。最初はママの送り迎えの運転手を務めるだけのはずだったのですが、ひょんな事情から危ない仕事まで頼まれるようになり。。


まあ、ありがちですね。


そうして「危ない仕事」を続けて、幸か不幸かママと一蓮托生の関係になってしまった陽一。最後に彼がママから依頼された仕事は、ママを裏切ってライバル店の別の女の子へ鞍替えした、ある大企業の社長から大金を奪うことだった。。


物語のクライマックスですね。けっこうドキドキします。お祭り騒ぎです。ドロドロした愛憎劇の趣きはありません。軽快です。軽快に億単位のカネが動きます。そのカネの動き方が愉快だし、そのカネに夢中になる人たちを傍観できる楽しみもあります。



でも最後には、やっぱり真面目に生きようと思う、あーなんてつまらないわたし。




楡周平著『フェイク』角川書店