約束
七つの短編。
この本のタイトルにもなっている『約束』は、親友を失った小学生の男の子の話です。
在原葉治(ありはらようじ)は、土井汗多(どいかんた)にとってほんものの英雄だった。
でもある日、ヨウジは学校の帰り道に通り魔に刺されて死んでしまいます。カンタの目の前で。
とても悲しい話です。カンタはヨウジに心の底から憧れていました。ヨウジになりたいと願っていました。ヨウジと一緒にいるだけで、自分もどこか得意な気分になりました。カンタはヨウジではなくて自分が死ねばよかったと思いました。本当に、そう思いました。でも生きていたのは自分で死んだのはヨウジでした。その事実がカンタをさらに悲しませました。
この話は2001年に附属池田小学校で起きた無差別殺傷事件で殺された子供たちへの鎮魂歌として、事件を目の当たりにした子供たちへのエールとして書いたそうです。
この話を読んだ子供たちや遺族は、何を思うんだろう。