怪盗紳士ルパン

u-book2008-03-28



アルセーヌ・ルパンの短編集。


ルパンの友人によって語られる、船上でのロマンチックな逮捕劇「アルセーヌ・ルパンの逮捕」
刑務所の中にいながらにして、とある城の財宝を盗み出す「獄中のアルセーヌ・ルパン」
ルパンの変身術と心理誘導が見事に描かれた「アルセーヌ・ルパンの脱獄」
アルセーヌ・ルパンがアルセーヌ・ルパンを追う「謎の旅行者」
ルパンの幼少時代が垣間見える「王妃の首飾り」
ルパンと、彼の冒険譚を伝えることになった友人との出会いの事件「ハートの7」
アルセーヌ・ルパンとして世に名を馳せる前の事件「アンベール夫人の金庫」
ルパンをして「これはぼくがとりわけ自慢にしている事件のひとつなんだ」と言わせしめる「黒真珠」
そしてシャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパンの最初の出会い「遅かりしシャーロック・ホームズ


おしゃれで嫌味たっぷりの怪盗紳士、アルセーヌ・ルパン。
いくらなんでもこんなにうまく物事が運ぶわけはないじゃないかと文句をつけたくもなるけれど、これだけスマートで鮮やかなら本当にあってもいいかなと思わせる魅力がある。もちろんやってることはただの泥棒だけど、不可能にみえることが可能なものとして目の前に突き出されたとき、そこには悔しくも愚かな快感がある。だから期待せずにはいられない。アルセーヌ・ルパン、次は何をやってくれるんだろうって。


この中では、わたしはやっぱり「遅かりしシャーロック・ホームズ」が一番かな。





モーリス・ルブラン著『怪盗紳士ルパン』平岡敦訳 早川書房