ドルリー・レーンの扮装

さて、いよいよ名探偵が動き出しました。ドルリー・レーン。彼が助手のクェイシーの手を借りて扮装をするシーンがわたしはとても好きです。なぜか『金田一少年の事件簿』の「蝋人形城殺人事件」を思い出します。ほの暗く、奇怪で、不気味な雰囲気が、わたしの目にどことなく似たものを映すのでしょう。

ドルリー・レーンは硬い直立した椅子に正座し、その前の三面鏡が、いろいろな角度から彼の姿を見せていた。青白色の電燈が、まともに彼の顔を照らしていた。二つの窓が鼠色のカーテンでさえぎられ、外の曇った空からは一筋の光も、この怪奇な室に侵入することはできなかった。せむしの老人は主人の前のベンチに膝をついており、その革エプロンには口紅がつき、白粉がちらばっていた。クェイシーの右側の小さなテーブルには無数の顔料の壜、白粉、口紅、調合皿、細い毛筆、いろんな色のかもじがあった。なお、同じテーブルに、男の写真がのっていた。 <中略> ドルリー・レーンの頭上の巨大な電燈を除いては燈火がない。いろいろな場所にスタンドがおいてあるが、いまはついていない。その一つだけの大きな電燈が怪物のような大きな影を投げている。レーンは身じろぎしない。したがって、その途方もなく大きな影も壁に釘付けになっている。


探偵ドルリー・レーンがこの扮装で何をするのか楽しみです。




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