視線


この作者は自分と似ているところがある。そう感じた小説はこれが初めてじゃないかと思います。ストーリー自体が自分の経験とどこか重なるわけではないけれど、文章の所々に現れるある対象への視線が自分の視線の途中にあったり、その延長線上にあったりします。それはわたしにとって、とてもうれしいことです。そしてとても素晴らしいことです。誰かの視線と同じ視線で物が見えるのは、わたしの視線がそれだけ定まってきたということでもあると思うのです。読んだのが「現在のわたし」でよかった。もう数年前だったら、たぶん、彼の視線を理解できなかったから。




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