初・赤川次郎

u-book2009-01-16


読んでみよう、そう思いながら長い年月が経ってしまった作家のひとりです。赤川次郎。最初の一冊をこの作品にする必要はなかったのですが、紹介文の一節に心惹かれたので買ってきました。「真夜中に激しい地震があった翌々朝、自宅の周囲には突然、深い森が広がっていた。」

え。そんな突飛な小説を書く人なの?

でも本を開いてまず驚いたのは、ストーリーではなく会話文の多さ。ほとんどが会話文と言っていいくらい。こんなに「」の多い小説は初めて見たな、そう思いました。

わたしにとっての赤川次郎は、友人の評価である「信じられないくらい読みやすい」作家として存在していたのですが、実際に読んでみると、うーーーーん。。。と唸ってしまうばかりです。たしかに読みやすい文章なのですが、読みにくい、のです。矛盾した言い方になるけれど、そうとしか言いようがないのです。言い方を変えると「足りない」感じがするのです。読んでいて「もどかしい」のです。もっともっと「読みたい」のに、読むべき物量がない。

そして思ったことは、赤川次郎という人の本は、もっともっと小さいとき、いや、年齢には関係なく、読書の経験が少ないうちに読んでおくべき作家だったのかもしれない、と。彼の書く文章が稚拙だという意味ではもちろんありません。簡単な文章を書くのはひどく難しく、高い技術を要することであるのは、誰もが経験から承知していることと思います。でもある本から感動を得るために必要な年齢や時期というのは実際にあって(このことも多くの読者が承知していることと思いますが)、わたしは赤川次郎の本を読んで感動を得る時期は逸してしまったのかもしれないと思ったのです。

うーーーーん。。。

またしばらくしたら今度は『三毛猫ホームズ』のシリーズを読んでみたいと思います。

<09.1.15. 野上書店にて>





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