鞄がぶつかったら「すみません」と謝った男の子がおもしろいと言った本。


わたしと三島由紀夫との初めての出会いは、高校のときの友人が最も好きな作家に三島由紀夫を挙げていたことに始まります。わたしは三島由紀夫なんて知らなかった。名前を聞いたことがあったかどうかもあやしいところです。恥ずかしながら。大学生になってようやく彼の作品を読みましたが、読んだということしかほとんど記憶していません。高校のときのあの友達は、高校生のときに、この作品のいったい何が好きだったのだろうかと不思議に思ったような気がします。ただ、ある側面で彼女が早熟だったのだろうということはわかりました。単純に賢かった、というだけのことかもしれないけれど(実際、彼女はとても優秀な成績をとっていました)。


さて、『金閣寺』です。三島由紀夫をきちんと読めるようになりたいという願いは常に存在していたけれど、ハードルが高いことがわかって、何度も手にとろうとしながら諦めていました。が、先日本屋さんでふたりの高校生の会話を耳にして、そのうちのひとりが「三島由紀夫の『金閣寺』がおもしろかった」と、もうひとりの友人に話しているのを聞いて、よし。読んでみようと再度挑戦を決意。彼は、棚の間をわたしとすれ違うときに鞄が少しわたしにぶつかったのを「すみません。」と声に出して謝った男の子でした。わざわざ謝られるようなぶつかり方ではなかったから(避けようとしたけれどそれ以上に通路の幅が狭かった)、きっと、鞄がぶつかってしまったら自然と声が出てくる男の子なのだろうなと思いました。鞄がぶつかったらすみませんと思わず声に出して謝った男の子がおもしろいと言った本をわたしも読んでみたいなと思ったのでした。


今読んでいますが、すばらしい。夏目漱石を読んだとき以来の驚きがあります。三島由紀夫、バンザイ。男の子、バンザイ。そういう気分です。




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