3月4日 


さて、これまでわたしはいろんな作家の作品を読んできました(読んだことのある作家の作品はなるべく避けて選んできました)が、そろそろ横に広げていくのではなく縦に進んでみたいと思います。具体的には毎月ごとに誰かの作品だけを読むという試み。


3月は、コナン・ドイル。


なぜコナン・ドイルかと問われると、3月4日(これはわたしの誕生日なのですが)という日付が、彼の作品のどこかに出てきていたような記憶が頭の片隅にあったので、なんとなく「いいかな」という気持ちで選びました。すごくひさしぶりに読みます。シャーロック・ホームズ


シャーロック・ホームズ。誰もが知る名探偵。でもその推理を読んでいると、いやぁちょっとそれは無理があるんじゃないか、と思わずにいられない箇所が多々出てきます。彼の推理は、彼の推理のために作られたパズルのピースがはめられていくような感じなのです。ワトスン君を一目みてアフガニスタン帰りだと言い当てたその推理を聞いてみても、特徴があったから推理ができたのだというわけではなく、彼の推理の成功のためにワトスン君の特徴が存在しているのだという印象を受けます。そして概ね彼の推理には身体的感覚があまり感じられません。与えられた情報がひとりでに歩き始めたり、その色合いを変えるようなことはなくて、手にしたときの状態のまま、彼の頭の中の画用紙に広げられて整理されていく。わたしたち読者が見せられるのは事件の現場や手がかりではなく、それらを見ているようで実はシャーロック・ホームズの頭の中だけしか見せられていないのではないかという気がします。


それがこんなに魅力的なのは、どうしてなのか。
一ヶ月、たっぷり付き合ってみたいと思います。




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