<伊坂幸太郎月間>『オーデュボンの祈り』vol.1


この作品の中に「城山」という男が出てきます。警察官です。前に読んだとき、わたしはこの男に吐き気を覚えたのですが、ずっとあとになった今でもその吐き気は記憶として残っていました。二度目なら少しは緩和されるかという期待もあったのですが、やはり吐き気は吐き気のままでした。とても不愉快です。小説の中に理解できない不愉快な人間が出てくると、わたしはそういう人の存在をどう受け止めたらいいのかよくわからなくなります。たとえどんなに不愉快でも理解はできるという場合もあって、そういうキャラクターには物語の中での立ち位置を自分で与えることができます。でも理解ができないとどうしようもなく、そのキャラクターに対しては不愉快さだけが残ります。「城山」は完全に後者です。城山が何をしようと大して記憶には残らないけれど、「城山」の行為を覆っている薄汚い悪意は、後々までわたしの記憶に残るのです。その悪意を、わたしはどう受け止めて、どう整理したらいいかわからなくなってしまうのです。


胃のあたりがムカムカします。




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