<夏目漱石月間>『三四郎』vol.5


この月間シリーズを始める前に『三四郎』は読んだことがあって、前回もここに感想文を書いているのですが、その際に引用した文章とまったく同じ部分を、今回もまた引用します。あまりにも美しくって。


三四郎が美禰子の家へ来たシーンです。


すると奥のほうでヴァイオリンの音がした。それが何処からか、風が持って来て捨てて行った様に、すぐ消えてしまった。(184項)


たったこれだけなのですが。
あまりにシンプルで、あまりにさりげなく、それでいて存在感のある文章。美しい日本語の境地ではないかとわたしは思うのです。夏目漱石の文章は最初から最後まですべてこの調子だから、褒めるのも一苦労です。



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