<約束月間>『13』


ひどく元気の出ない夜でございます。こんばんは。このブログに自分の日常を書くことはあまりなかったように思うけれど、今日は元気の出ない夜です。泣きたい。こんな日はお風呂に入ってゆっくり泣いて、布団にもぐってからまたしくしく泣いて、そしてそのまま眠ってしまいたいけれど、今はまだ浴槽にお湯をためているところなので、泣くこともできません。うえーん。


そういうわけで、パソコンに向っています。


ずいぶん前の約束です。『13』。初の古川日出男作品です。
作者についても、作品についても、ほとんど何の予備知識もないところから読み始めました。第一印象は「怖い」かな。作品の内容についてではなくて、古川日出男という人の頭の中が「怖い」と感じる。冷え冷えとした構成力と、大胆なディテールと、知的な想像力。物語は熱を帯びていくのに、読んでいるわたしの体温は下がっていくというような感触。硬質な文体のせいもあるだろうと思います。
特に、響一君の色彩感覚における天才性が、文章という色のないものを通してここまで伝わってくることには、畏怖の念を覚えました。


ただ、わたしの足りない頭では、この作品の中に組み込まれた膨大な情報量をコントロールしきれず、全体としては消化不良。けれど新しいタイプの作品に出会ったことで、わたしの狭い読書の幅も、少しは広がってくれそうな予感と期待が心地よく残っています。自分ではきっと手にとることのなかった種類の小説だと思う。そう遠くない日に再読したいです。




約束、守ってよかった。