『パズル崩壊』法月綸太郎


お正月に山形まで旅行していたのですが、帰りの新幹線で読む本がなくなってしまったので、山形の雪の中から持ち出してきました。


新幹線つばさ君に乗って、一緒にやってきたのは法月綸太郎の『パズル崩壊』。上質な短編集。


いいですね。スタイリッシュな文章だし、トリックや仕掛けの見せ方がクールです。ごてごてしてなくて、うじゃうじゃしてなくて、どろどろしてなくて、軽薄でもない。どの短編もひとつも質が落ちている印象がなく、読者のお好みによってお楽しみください、というようなちょっと余裕のフルコース。これを書いた人はさぞや魅力的な男性なのでしょう。ぜったいモテる人に違いない。というのが、一番の感想。すみません、軽薄な読者で。


ミステリーが短編でおもしろいということと、ミステリーが長編でおもしろいということとの間には、いったい作者の素質や能力に、何の差異があるからなのでしょうか。だって絶対、なんか違うよね。


わたしがあまり辛抱強くないせいかもしれません。短編のミステリーがおもしろいと、長編のミステリーがおもしろいときよりも、幾分快感です。