『りら荘事件』鮎川哲也


上質な作品だと思いました。衝撃的な驚きはなかったけれど、きちんと整理整頓されている、といった印象です。無茶な感じもない変わりに、心躍る感じもありませんでした。でも、上質なので、無難と言ってしまうのは憚られます。


「りら」というのは「ライラック」の別名だそうです。事件の舞台となる別荘は作品の中でも「ライラック荘」が正式名称です。それを、学生たちが「りら荘」とあだ名しているとわざわざ設定しています。最初から正式名称を「りら荘」とはしなかったところが、わたしは好きです。



でも犯人は、すぐにわかりました。殺人をしなくても、わたしこういう子、苦手です。