『ストリート・キッズ』ドン・ウィンズロウ


すっごくすっごく楽しかったわけではないけれど、十分に楽しめました。主人公のニール・ケアリーがどれくらいかっこよく見えるかでこの物語の評価は大きく変わってくるのではないかと思います。ちなみに、悪くないんだけどね、というのがわたしのニール評。胸をときめかせるまでは残念ながら到達せず。読み終わったときの感想は、恋人のダイアンが可哀想、でした。作中ほとんど登場しないダイアンですが、そうはいっても主人公の恋人です。主人公の恋人を置き去りにして、物語は気ままにずんずん進み、あれ、そういえばいたよね、ダイアン。と最後になって思い出させられます。ダイアンがいたことを思い出した瞬間に、わたしにとってこの物語の主人公はダイアンに成り代わりました。ダイアンがいたことに思いを馳せた時、ダイアンを差し置いて語られたニールの決め台詞がことごとくひっくり返ります。あれもそれもひどいものです。



そして作中で最も切ないセリフを決めているのも、ダイアン。



「来るのは、あなたのすべて? あなたの一部?」

ああ、ダイアン。