『扉は閉ざされたまま』石持浅海


あっちゅーまに読み終わりました。開かない扉を前に延々御託を並べています。裏表紙の作品紹介に「息詰まる頭脳戦」とあったので、わたしは心躍る期待を寄せたのですが、作品は応えてくれませんでした。読者をきちんと導いてくれるし、だから論理的な展開ではあるのだけれど、論理的であることを守ろうとし過ぎている、あるいは、強調し過ぎているという印象です。人の言動にはそもそも論理的でないことが数多く含まれるのだから、それを論理というレールの上に乗せようとすると絶対にはみ出るし、欠落するのに、そのことが無視されてしまっている。だから小手先だけの展開に見えてしまいます。『戻り川心中』を読んだあとだから、余計にそう感じられるのかもしれません。



伏見さんは冷静で熱い人、碓氷優佳は冷静で冷たい。だからふたりは似て非なるもの。けっしてひとつにはなれない。



だそうです。なんのこっちゃい。自分たちのクールさに酔いしれているあたりがもう救えません。