『アラビアの夜の種族』古川日出男


こちらも『13』に続く古川日出男の2作品目。長かったけれど、そんなに苦痛じゃありませんでした。そうそう、苦痛といえば最近になって気がついたことですが、わたくし、作品の視点(語り手)が変わるのが得意じゃありません。最初っから最後までずーっとひとりの人の視点で物語が続いていくほうが好きです。あっちにいったりこっちにいったりされると、読まされている気分になるし、その人の物語が途中で切れてしまうことに不満が残ります。物語は常にひとつづきであってくれたほうが好きです。いや、単純にわたしの頭がおバカなので、ついていけないだけだという気もします。しかしそれでも『カラマーゾフの兄弟』は大好きですが、大変だったことも事実です。


『アラビア』は物語(一冊の本)を創るお話で、その作られる物語と、物語を聞いている人(たち)の物語とが、交互に続いていていきます。だから創作されている物語が、物語を聞いている人たちの章に入るとそこで途切れてしまいます。でも、どちらの物語も魅力的だったので、読むのにさほど弊害はなかったです。


ただ、読み終えたときには『13』のほうがかっこよかったな、という印象が残りました。