『霧越邸殺人事件』綾辻行人


2010年最後の読書に選んだ本です。


話は少し違いますが、今年わたしは結婚をしました。結婚をした相手の方が読書家で特にミステリーが大好きなのですが、わたしはミステリーはあまり読みません。ミステリー以外でも読んでいる本のカテゴリーで重なるところがあまりありません。なので、彼の好きな本を読んでみたいと思って、おすすめのミステリー作品を100冊、ずいぶん前に選出してもらっていたのです。


100冊全部読もうと思って「ミステリー年間」というのを始めたのだけれど、つまらなくなって、それは途中でやめました。やっぱりわたしの好きな小説とは違うんですよね。


だから来年からはわたしの好きな作品だけをとことん読もうと決意したのです。そしてその前に、今年最後の締めくくりに彼の大好きな作品を読もうと思ったのです。『霧越邸殺人事件』。彼のオールタイムベスト作品です。


彼が選んでくれた100冊を全部読んだわけではないけれど、でも100冊の中で、わたしもこの作品が一番好きだと思います。すごくよかった。犯人がどうのこうの、トリックがどうのこうの、アリバイや動機がどうのこうのということではなく、作品全体が「霧越邸」という舞台が演出する世界観の中に包まれていて、登場人物の造形も、事件のありようも、舞台・状況設定も、その世界に調和しているのが見事だと思います。綾辻行人の他の作品も読んだことはあるけれど、これは本当に気合い入ってると思う。


2010年の最後にすっごくいい読書をしました。