『肉体の悪魔』ラディゲ 訳:新庄嘉章


家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第16回課題本。


20歳で夭折した作者の16歳から18歳の間に書かれたとされる作品。当然、20歳以前の年齢の少年が書いたとは思えない筆力が、作者の名声をより高めたのだろうと思うし、訳者のあとがきにもこうあります。

もちろんわれわれは、この『肉体の悪魔』が十七歳ごろの作品だからというハンディキャップをつけて感嘆しているのではない。だが十七歳くらいの少年が書いたということは、依然として驚異である。


そう、たしかに17歳くらいの少年が書いたということには驚かされるばかりです。でも、だからと言って、この作品を20歳以上の年齢の青年や大人が書いていたとしたら、それはちょっと気持ち悪いかもしれない、ともわたしは思います。


結局、10代後半の年齢にだけ許された子供っぽさが、あるがままに感じ取れる文章になっていて、だからこその「驚異」なのですね、きっと。


ところでわたしは、この作品の主人公の行動や思考に共感できるところはあまりなく、「へえ」とか「ふうん」とか「なぜ?」とか「あ、そう」などと思うばかりでした。わたしが男性だったら、もう少し理解できる部分もあったのかどうか。


それとは別に、わかるような気がしたことがひとつありました。


昔、それこそ10代後半の年齢で、極度に男の子を嫌う女の子がいたと思います。わたしはそういう女の子ではまったくなかったのですが、この作品を読んだら、そういう女の子の気持ちがちょっとわかりました。たしかに嫌かも、男の子って。