『封印再度』森博嗣


家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第五回課題本です。残念ながら今回もつまらなかったし、当企画が始まってから懸念していた事案が、ここでついに、本格化いたしました。懸念していた事案、それは、わたしはこのシリーズの主人公ふたりが、ふたりとも嫌いなんじゃなかろうかという疑惑です。疑惑の本格化です。つまり嫌いだということです。


正当で美しいもののように書かれた死の動機が、わたしには滑稽にしか見えません。滑稽に見えてしまうほどにしか、作者は死の動機について一生懸命に書いていないと思います。ここに書かれた動機が正当で美しいもののように見えるために必要な深度を作者は描いていません。あるいは、どんなに正当で美しいように語られる動機であろうと、結局のところは滑稽なのだということを、暗に言いたいのでしょうか。でもわたしにとってはいずれにしても、物足りないのです。


主人公ふたりのキャラクターに対する不満は、これまでにもあるとしても、それはそれとして、ストーリー展開とは別にして、あまり気にせずに読んでいたのですが、ここにいたって無視できなくなりました。女の子のほうは特に。わたしがもっとも嫌悪する類のことを、あっさりやってのけましたね。わたしが犀川先生なら3年くらいは口きかないです。


ただ、作中に登場する「天地の瓢」と「無我の匣」、それからタイトルの「封印再度」は、かっこいいよね。