『バーナム博物館』スティーブン・ミルハウザー 訳:柴田元幸

新年2014、あけましておめでとうございます。

みなさんはどんな2013年でしたか。わたしは本当に本を読まなかった年でした・・・。カウントしていたわけではないけれど、読書を日常のひとつにしてからは、いちばん読まなかった年じゃないかと思います。ここ本棚の更新も、数えてみたら昨年は10回ですって。なんとまあ。
読みたくて読みたくて、でもあれやこれやの事情でなかなか読めなかったというのではなく、要するにたいして読みたかったわけでもないのですから、読めなかったことへの後悔や腹立たしさもないのだけれど、でも「たいして読みたかったわけでもない」ことへの違和感があります。なんで「たいして読みたくない」なんてことになるのさ、と。
もちろんやりたくないことはやらなければいいのだし、読まないでいて責められる理由もわたしにはないけれど、でも読書に心踊らなくなる原因を考えていたら、そこには現実への屈服があるように思えてきて、それはよくないじゃないか。

ということにはいま、こうして書きながら思い至ったわけで、「朝30分の読書習慣」を始めたのは、現実への屈服がどうこう考えるよりも前のことだったのですが、それは「昨年の自分は本を読まなかった」という事実が、ただただ気に入らなかったのです。


そういうわけで、朝いつもよりも30分早起きして、出掛ける前の30分を読書の時間にしています。一週間、無事続きました。


一年、続くかな。


『バーナム博物館』は、2013年の最後に読んだ小説となりました。柴田元幸訳というだけの動機で手に取ったのですが、すごい小説でびっくりしました。すごい人(柴田元幸)は、すごい人(スティーブン・ミルハウザー)やすごい作品(バーナム博物館)に出会うのだな、と思いました。わたしも少しでも「すごい」に近づけるように努力しようと思いました。だってすごいんだぜ、ほんと。

小説ってすごいな、って今までにも思ったことがあることをまた思ったけれど、それよりも、人間の頭の中ってすごいな、って、今までに思ったことがないことも思いました。コンピューターのすごさに感心することの多い近年この頃ではあるけれど、いやいや、人間の頭の中も半端ない。そんなことを思った小説でした。すごく、楽しかった。