『赤い長靴』江國香織


苦手な江國香織です。誰か友人がプレゼントしてくれたのだけど、その友人が誰だったのか、まったく思い出せないという薄情なわたし。ごめんなさい。

苦手な江國香織ですが、でもわたしの友人には好きだという人が多い。なぜか、多い。ある程度、好みや感性も似ていると思っている友人が「江國香織が好き」だと言ったりすると、わたしはその友人との間に小さな壁をささっと立てたりしてしまう。それくらい苦手な作家なのに、なぜか友人たちは好きだと言うのです。


そして今回もやはり、苦手だという再認識が行われただけでした。


文章が上手だとか下手だとか、話がおもしろいとかつまらないとか、そういうことではなくて、物語の中に流れている空気を、わたしは吸えないのです。この空気の中に自分の身を置くことは、できれば避けたい。それがわたしにとっての江國香織


この作品についてだけ言えば、主人公の夫の造形が、わたしの現実にも想像にも欠片も存在しない、ほとんど無みたいな人で、無みたいな人がいろいろ言ったりするから、寒気がして、ホラー作品なんじゃないか、と思ったくらいでした。