『法月綸太郎の功績』法月綸太郎
朝の読書習慣2015の4
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
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・イコールYの悲劇
・中国蝸牛の謎
・都市伝説パズル
・ABCD包囲網
・縊心伝心
の、5つの事件簿です。
法月綸太郎(ノリヅキリンタロウ)というのは作者の名前ですが、この作品の主人公の名前でもあります。作品中の法月綸太郎も作家、という設定です。どうして主人公の名前を作者と同じにしたのか、何か理由があるのかないのか、そのあたりの説明は特にありませんでした。名前が一緒だから、作者自身が物語の主人公を務めているのだろうかとも思ったけれど、そのようにも見えませんでした。作者の法月綸太郎と、作中の法月綸太郎は、別人のように思えます。
作中の法月綸太郎は、父親である法月警視から事件の詳細を聞かされて、様々なアイデアを出しながら事件解決へと論を導いていきます。
この「様々なアイデア」が、話を前に前に押し進めていきます。まるで紙芝居の絵が一枚一枚めくられていくように、読者は新しいアイデアをひとつ見せられては隠され、またひとつ見せられては隠され、と、提示されたアイデアが紙芝居の最後の一枚でない限り、それが正解ではないこともわかっているのだけれど、不正解なのであろうアイデアの可能性もまた、それはそれで探ってしまうのです。いや、今めくったページ、もっかい見せてよ。というように。
紙芝居の一枚一枚の絵が、どれも見やすくて、テンポよくめくられていくところが、探偵・法月綸太郎の「功績」だと思います。
わたしのお気に入りは「都市伝説パズル」かな。