ドイル自薦No.5『ボヘミアの醜聞』


ホームズにとってただひとりの女性、アイリーン・アドラーの登場です。
事件はボヘミア国王の不貞に始まります。五年前に知り合った女、その人がアイリーン・アドラーですが、その女性と煩わしい関係を持ち問題を起こしそうな手紙を与えてしまったので、それを取り戻したいというのが国王の依頼です。

「秘密に結婚でもあそばしましたか?」
「そんなことはしておらぬ」
「法律上有効な書類とか、あるいは証書のごときものをお遣わしでございましたか?」
「そのようなものは与えぬ」
「しからばお言葉を解しかねます。たとえばこの若い人物が、手紙の類を強請その他の目的でもちだすといたしまして、彼女はどうしてそれが偽者でないと証明できましょう?」
「手跡というものは争えぬ」
「そんなことが! 偽筆だと仰せられませ」
「専用の料紙が用いてある」
「ご料紙は盗まれることもございます」
「余の封印が用いてある」
「偽造することができます」
「余の写真が遣わしてある」
「お写真は買うこともできます」
「二人でとった写真だ」
「おう、それはたいへんいけません。陛下はご軽率あそばしました」(20項)


そうして国王さまをがんじがらめにしてしまったアイリーン・アドラーが、ホームズにとってたったひとりの女性となるにいたるお話。




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