未来

未来について語ろうと君が言った


月の上を歩きながら 地球で寝ている 君に メールを送ろう

タイムマシンに乗って、幼い君のバラ色の頬に キスをしよう

休日は自転車でふたり乗りの海中散歩 漂うクラゲでも眺めながら 

おそろいの歌を口ずさもう


そんな未来はないと 君は言う

それはただの夢だと 君は言う


ひとめぼれして買った あのライトスタンド

無理して履いた コーラルピンクのハイヒール

心に書いた日記帳も 遠い未来には残らない



未来について語ろうと僕は言った


どこまでも続くコスモス畑 そよ風に吹かれて 君と手をつないで

スグリーンのソファーで読書をする君の横で、僕はギターを弾く

あなたはギターなんて弾けないじゃないと君が言うから、

だから未来の話だと僕は言う


アテにならない そう言って 君は笑った


仕事して疲れて デートして笑って

映画観て泣いて 音楽聴いて寂しくて

空は透き通る青で 暗くなったら月が出て

朝のまどろみは温かくて 

坂道の向こうに見える夕焼け また寂しくて


遠い未来には そういう想いも ぜんぶ 

消えてなくなってしまう けれど


現在があるという未来 君がいるという現在

君との未来を想う現在


未来について語ろうと君が言った

僕は夢しか語れなかったけれど 

未来がなくても いいね そう言って君は笑った