2009-01-01から1年間の記事一覧

 ドイル自薦No.6『空家の冒険』

ホームズ君! ほんとにホームズ君かい?(14項) ライヘンバッハの滝へ転落したはずのホームズが帰ってきたお話。なので、間違ってこちらを先に読むようなことがなくてよかったと思うとともに、ホームズシリーズについては最初に読むべき順番というのを掲げ…

 ドイル自薦No.5『ボヘミアの醜聞』

ホームズにとってただひとりの女性、アイリーン・アドラーの登場です。 事件はボヘミア国王の不貞に始まります。五年前に知り合った女、その人がアイリーン・アドラーですが、その女性と煩わしい関係を持ち問題を起こしそうな手紙を与えてしまったので、それを…

 ドイル自薦No.4『最後の事件』

ホームズが滝壺に落ちて死んでしまう(ことになっている)話です。あまりに有名ですし、結末を先に知っていても読書の楽しみは奪われないと思います。奪われたらごめんなさい。宿敵モリアティ教授との最後の戦いです。控えめに言っても、すごくかっこいいで…

 ドイル自薦No.9『悪魔の足』

私刑を認めるか否か、ということについて考えをめぐらす機会は、やはりミステリーを読んでいると必然的に増えるように思います。私刑に対する社会全体の意見は、時代やそのときの社会情勢や犯罪のあり方によっていくらでも変化し得ると思いますが、わたし自…

 ドイル自薦No.3『踊る人形』

もっとも死なせたくない人が死んでしまった。 わたしにとってはそういう短編になりました。 それ以上の感想は、これから読む人のために謹みたいと思います。 またそのこととは別に、ここに出てきた暗号についてはかなり感心させられたことを記録しておきます…

 ドイル自薦No.2『赤髪組合』

わたしとしては『まだらの紐』よりも、こちらのほうがわくわくして読めました。なんといっても奇怪な出来事です。簡単な仕事をするだけで週4ポンド(←けっこうな額らしい)のお給料がもらえるというのですが、その資格はなぜか赤髪を持つ者にだけ与えられる…

 ドイル自薦No.1『まだらの紐』

作者自身が選んだという「シャーロック・ホームズシリーズ短編ベスト12」の1位に挙げている作品がこちら『まだらの紐』。 ある姉妹が暮らす家で起きた不可解な事件。その事件で姉が命を落とし、妹もまた自らの命に危険を感じてホームズのところへ相談にやっ…

 長編ベスト1

これでシャーロック・ホームズシリーズの四つの長編をすべて読むことができました。長編が四つ。他人と比較・議論するのに大いに盛り上がる作品数ですね。 わたしは『恐怖の谷』をベスト1に挙げようと思います。一番おもしろかった。事件の影にモリアティ教…

 ワトスン君、夕やけが美しいね。

ホームズシリーズ長編の3作目。古典というのはやはりすばらしいものです。すばらしいから古典になり得たのだということがよくわかります。100年以上も読み継がれる本には、やはりそれだけの価値があります。普遍性があります。あーすばらしい。 コナン・ドイ…

 『四つの署名』を読んだあとの『緋色の研究』

『緋色の研究』を読んだ感想に、犯人の告白の部分がなくても物語は十分に楽しめるというようなことを書きましたが、『四つの署名』を読んだ今は、あの長い告白部分があってこその「コナン・ドイル」ではないかと思うに至りました。ふたつの作品はその点におい…

 傍線

今はやらないけれど、以前は本を読みながら気になった箇所に傍線を引いていました。「シャーロック・ホームズ」は、わたしの読書生活では初期にあたる時期に読んだ作品なので、今また読み返すといろんなところに傍線が引かれてあることに懐かしさを覚えます…

 分析的推理

個人的にはこの小説の106項〜190項(犯人の独白)はなくてもいいのではないか、とまず思いました。それは「無駄なものがある」という批判的な気持ちからでなく、どちらかというと、ミステリー小説においてもっとも楽しめる部分になり得る「犯人の告白」がな…

 天才と苦痛

「天才とは苦痛を無限にしのぶ能力のあるものだというが、こいつはきわめて拙劣な定義だ。こいつはむしろ探偵に下すべき定義だよ」(50項) 先日読んだばかりの三島由紀夫のことを思い出しました。若くして自殺した三島由紀夫は天才だったけれど、彼が負った…

 3月4日 

さて、これまでわたしはいろんな作家の作品を読んできました(読んだことのある作家の作品はなるべく避けて選んできました)が、そろそろ横に広げていくのではなく縦に進んでみたいと思います。具体的には毎月ごとに誰かの作品だけを読むという試み。 3月は…

 天才である。

「この人は天才である」と言われている人を見ることはそんなに少なくないけれど、「この人は天才だ」とわたしが感じた人はそんなに多くはなくて、でも三島由紀夫は天才なのだろうな、と思いました。夏目漱石がモーツァルトであるなら、三島由紀夫はバッハの…

 鞄がぶつかったら「すみません」と謝った男の子がおもしろいと言った本。

わたしと三島由紀夫との初めての出会いは、高校のときの友人が最も好きな作家に三島由紀夫を挙げていたことに始まります。わたしは三島由紀夫なんて知らなかった。名前を聞いたことがあったかどうかもあやしいところです。恥ずかしながら。大学生になってよ…

 想像力合戦

SFの世界にやってきました。このジャンルにわたしはこれまでほとんど触れてこなかったのですが、やっと手にとりました。 たとえばミステリーならば、作者が隠している、あるいは隠そうとしている解答やトリックや驚きを、こちらが先に見つけようとする楽し…

 しかしよくできている。

しかしよくできてるなぁ。と感心はするのだけれど、ちっとも胸に迫ってこないのは、わたしが今まで組織という場での理不尽さをまともに受け取ったことがないからなのでしょう。なんだかんだ文句はあるにせよ、自由な環境でやってきたように思います。そのせ…

 パレットの上で混ざる絵の具のような。

こういう小説があるのだな、という静かな感動。それはとても小さく、大きな衝撃として訪れたわけではないけれど、たしかに芽生えた感動。仕事で上司に怒鳴られたり、株を運用したりというような人生の具体的な場面と、星や山や海や微粒子について物語るよう…

 あっち行け。

友達のエイヒレさん(『uubの小屋』参照。どこかにエイヒレさんがひそんでいます。)からもらった文庫です。だいぶ前にプレゼントしてもらって、ちょっと読んでみたけれど、あまりしっくりこなくて数ページでやめて、そのまま置いてあった本です。 再び手…

 「だめだよ」と、彼はいった。

最初から最後まですご過ぎて、なにを書いたらいいのかわかりません。いや、書きたいことを書こうと思うと、全部の文章をここに引用することになりそうなので、めんどくさくてできません。 わたしはまだ、大切な(身近な)人の死というものを経験したことがな…

 まだまだ訓練が足りない。

この作品の感想を書く上で最初に言っておかなければならないと思うのですが、わたしは小学生のときから(もしかしたらそれよりも前から)どちらかと問われるのなら、完全に文系の人間であった、ということです。好き嫌いや得意不得意の問題もあるだろうけれ…

 それ、一週間まえのわたしのセリフ。

一週間ほど前、なんの因果からかたまたま手にして読んだ『眠狂四郎』。 その日までこの名前をなんて読むのかも知らなかった、「ネムリキョウシロウ」。 そしてつい先日、それとはなんの関連もなくたまたま買ってきた『すべてがFになる』。 ここに「眠狂四郎…

 断念しました。

けっこう前に購入して読んで、なんじゃこりゃ。と思って読むのをやめました。城(の主)から呼ばれているのに、城に入れてもらえないとは、いったいどういう了見だと。わざわざ遠いところから出向いてきて、しかもたどり着いた村は雪に埋もれ歩くのもままな…

 柔らかな太刀

眠狂四郎、かっこいい時代劇のヒーローかと思ったら、そうでもない。「強い」というよりは「鋭い」という印象で、伝説に語り継がれる偉業を残すよりは、瞬時に咲き乱れ、散る。そういうタイプに思われます。どんなに強くてもヒーローとして映らないのは、そ…

 眠狂四郎――とおぼえて置いてもらおう

ひさしぶりの時代小説です。ねむりきょうしろう。知らないと読み方がわかりません。まだ一切の素性が明かされていない謎の浪人。必殺技は「円月殺法」。これも読み方がよくわかりません。えんげつさっぽう? とにもかくにも、時代小説です。 わくわくしなが…

 わたしは泣きそうになりました。 

id:maxbaoさんが教えてくれた岡嶋二人の『タイトルマッチ』。話の進み方が抜群にうまい。子供が誘拐されてから見つかるまでの3日間、それはたったの3日間だけれど、3日あればいろんなことが起きます。そのいろんなことの持ち出し方がうまいなぁと感じるので…

 やっと読めました。

友達のmaxbaoさんがオススメしてくれた本です。やっと買うことができました。まだ途中ですがワクワクしながら読んでいます。この作品は誘拐事件から始まります。まだ生後十ヶ月の赤ちゃんが連れ去られてしまいます。その赤ちゃんの父親はボクシング世界チャ…

 @エピローグ

読み終わりました。この作品はurt13さんから「本格ミステリに対して新鮮な期待があるうちに楽しむべき作品」と紹介されて手にした、わたしにとっては最初の綾辻行人作品になりました。 まず、物足りない、というのが全体を通してのわたしの印象。ひとつ前の…

 @第四章

第四章まで読みました。まだ誰も殺されておりません。ここまでの感想は、事件が起きるまでが長いなぁ、というのがまずひとつ。最後まで読んだときに、この前振りの中に重要なヒントが隠されていたことに気がつくのでしょうか。それから、登場人物の「顔」が…