『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ 訳:上田真而子/佐藤真理子

ふとまた、読みたくなって。 デブでエックス脚、勉強も運動もダメで級友からもバカにされ、いじめられている少年、バスチアン。彼と、彼が手にした『はてしない物語』の冒険を描いたファンタジー。『はてしない物語』は「滅亡の危機にさらされているファンタ…

 『夜はやさし』F.スコット・フィッツジェラルド

素晴らしい小説だ、と思うのと同時に、わたしはまだこの小説の魅力を十分に堪能できていないのだということがわかる読書体験もけっこうたくさんあって、『夜はやさし』も、数多くあるそういう小説のひとつでした。読書の技量不足もありますが、長編小説の読…

 『幻惑の死と使途』森博嗣

家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第七回課題本です。これまでもワルクチが多いから、ホメクチも書きたいと思うけれど、今回もワルクチ。 有名なマジシャンが、脱出ショーの最中に殺されて、さらに葬式では、霊柩車からその遺体が消失。というのがこの物…

 『われらが歌う時』リチャード・パワーズ 訳:高吉一郎

2009年以来の再読。あれから4年半。白人の物理学者デイヴィッドと、黒人の音楽学生ディーリアは、あるコンサートで知り合って恋に落ちます。そして、ふたりの間に生まれた三人の子供たち。物語はこの家族の軌跡を辿ります。白人と黒人の両親、その間に生まれ…

 『金閣寺』三島由紀夫

W杯観戦に明け暮れて、朝の読書習慣をたやすくふいにしたわたし。1時からの試合と5時からの試合と、うー。どっちを見るべきか。ってね。でももうそんな悩みは終わって、あとはすべての試合を見ればいいだけの日程になって参りました。おもしろいよね、サッ…

 『城』カフカ

ずいぶん前に挑戦したときには途中で断念した作品を、ようやく読み通すことができました。読書に心奪われる時間を、もうかなり長いこと過ごせずにいて、だからわたしの文章を読む力は、よほど低下しているのかもしれないと思っていたけれど、それなりに、進…

 『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー 訳:村上春樹

感想文を書こうとするたびに反省するのは、読み終わってから日が経ちすぎていることです。すぐ書けばいいとわかってはいるのだけど、なぜかずっとほったらかしにしてしまうのです。自分では温めているつもりなのだけど、結果的には冷ましています。どこか興…

 『異邦人』カミュ 訳:窪田啓作

とても大事なことが書いてあったような気がするのだけど、読み終わったときにもたぶんもう覚えていなかったし、それからまたずいぶん時間が経ってしまったので、それを探す意欲もなくなってしまいました。でも、とてもいい小説でした。「いい」というのは、…

 『赤い長靴』江國香織

苦手な江國香織です。誰か友人がプレゼントしてくれたのだけど、その友人が誰だったのか、まったく思い出せないという薄情なわたし。ごめんなさい。苦手な江國香織ですが、でもわたしの友人には好きだという人が多い。なぜか、多い。ある程度、好みや感性も…

 『地球はグラスのふちを回る』開高健

わたしの読書にはめずらしいジャンルの「エッセイ」。お酒に関するもので、専門的ではなく、楽しく読めて興味がそそられそうな本を探したところ、本書にたどりつきました。著者のネームバリューに加えて、タイトルがいいなと思って。 なんでもかんでも上品で…

 『叫びと祈り』梓崎優

朝の30分読書習慣が続いていて、とても充実した気持ちを味わっている今日この頃です。こんにちは。誰も本気で信じてくれないと思うけれど、夜寝る前に「ドラゴンボール」を読むようになってから、決まった時間に起きられるようになりました。今までぜんぜん…

 『バーナム博物館』スティーブン・ミルハウザー 訳:柴田元幸

新年2014、あけましておめでとうございます。みなさんはどんな2013年でしたか。わたしは本当に本を読まなかった年でした・・・。カウントしていたわけではないけれど、読書を日常のひとつにしてからは、いちばん読まなかった年じゃないかと思います。ここ本棚の…

 『まどろみ消去』森博嗣

家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第六回課題本です。今回は短編集。 全然違う話ですが、ナインティナインっていうお笑いコンビいるじゃないですか。そのふたりがやってるバラエティ番組で「めちゃイケ」ってあるじゃないですか。17年くらい続いてる人気…

 『こころ』夏目漱石

すばらしい小説が深い悲しみを読者にもたらすことはあると思います。わたしにも過去にそういう読書体験はありました。ひとつひとつをはっきりと覚えているわけではないけれど、あまりに悲しくて読んだことを後悔するような。そういう悲しみの物語を書いた作…

 『こころ』夏目漱石

教科書に載っているのは、中学と高校のどっちでしたっけ。森鴎外の『舞姫』を高校の授業で読んだことは覚えているけれど、『こころ』をいつ学んだかは覚えていないので、当時のわたしにはさほど響かなかった作品だったのだと思います。響かなかったから、あ…

 『封印再度』森博嗣

家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第五回課題本です。残念ながら今回もつまらなかったし、当企画が始まってから懸念していた事案が、ここでついに、本格化いたしました。懸念していた事案、それは、わたしはこのシリーズの主人公ふたりが、ふたりとも嫌…

 『詩的私的ジャック』森博嗣

おひさしぶりです。こんにちは。第五回目の課題本を読み終わって、第四回目の課題本の感想文を書いていなかったことを知りました。 家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第四回課題本。です。残念ながら、つまらなかったということしか覚えていないのですが…

 『それから』夏目漱石

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第20回課題本。 家庭内読書会が「森博嗣を読もう企画」に余儀なく変更させられてしまいましたので、20回という区切りに最後のお情けを頂戴いたしました。夏目漱石を読ませてくれてどうもありがとうございます。 『…

 『すべてがFになる』森博嗣

家庭内読書会第22回課題本「森博嗣を読もう企画vol.3」の、はずなのですが、家庭内で異論があり(しかも強情な)、改題を求められましたので(しかもほとんど強制的な)、カウントのリセットおよび企画名を変更することといたします。 というわけで、改めて…

 『笑わない数学者』森博嗣

家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第三回課題本。 全11章からなる物語の第2章の途中、何も事件の起こらないうちに(実際には起きているけれど本編の中で明らかにされていないうちに)最初の被害者もトリックもちゃんと見抜きました。あとで探偵役の主人…

 『冷たい密室と博士たち』森博嗣

この作品を手にしたときはワクワクしませんでしたが、感想文を書くのはなんだかワクワクします。家庭内読書会、第20回課題本です。もともと「古典的名作を読もう」という企画で始めた読書会でしたが、このまま通し番号で進めて参ります。第20回目の今回から…

 『恥辱』J・M・クッツェー 訳:鴻巣友季子

ひさしぶりに一冊読みました。家庭内読書会、第19回課題本です。 まずタイトルが好きではありません。読みたいと思えなくないですか?「恥辱」なんて。でもノーベル賞作家がブッカー賞をとった作品なんだと、課題本に指定した方が強い調子で推すので、あまり…

 『四つの署名』コナン・ドイル 訳:延原謙

あんまり読書意欲のない今日この頃。もともとすっごく読むというタイプでもなかったけれど、ほんとに読まなくなっちゃいました。ああ、嘆かわしい。 お馴染みシャーロック・ホームズシリーズの長編二作目『四つの署名』。話は少し変わりますが、青山剛昌の漫…

 『ブルックリン・フォリーズ』ポール・オースター 訳:柴田元幸

いつもとてもおもしろい小説を書くオースターの、やっぱりいつもの通りの魅力ある小説。 ある著名な作家、あるいは自分の好きな作家が書いた作品はどれもおもしろいというのはよくあることで、だからオースターがまたひとつおもしろい作品を書いたからと言っ…

 『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー 訳:原卓也

何度目かの再読。もう一度読み返したいなぁと思うたびに、でも長いし大変だしまたいずれそのうちすごく読みたくなったときに、と思って放っておいても、きちんとその「いずれそのうち」がやってくるところが、この作品の毒性です。なんで読みたくなるのやら…

 『三銃士』アレクサンドル・デュマ 訳:竹村猛

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第17回課題本。 正直なところ、この作品、よく150年以上も生き残ったな、というのがわたしの感想。つまらないとは思わないのだけれど、後世に永く語り継がれる作品の独特さが、わたしには感じられなくて。あっちこ…

 『切りとれ、あの祈る手を <本>と<革命>をめぐる五つの夜話』 佐々木中

小説ではなくて、人文書。 ギャンブルってみなさんは好きですか?わたしはまったくダメなんです。競馬やパチンコももちろんしないのだけれど、そういう「賭け事」の代名詞のような存在だけではなくて、たとえば投資、あるいは宝くじ、はたまた福袋のようなギ…

 『シャーロック・ホームズの帰還』コナン・ドイル 訳:延原謙

シャーロック・ホームズの短編集、「冒険」「思い出」「事件簿」「帰還」の中だったら、この「帰還」が今のところ一番好きかもー。好きかもー。 第一の短編「空家の冒険」では、宿敵モリアティ教授との戦いにおいてライヘンバッハの滝へと姿を消したホームズ…

 『肉体の悪魔』ラディゲ 訳:新庄嘉章

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第16回課題本。 20歳で夭折した作者の16歳から18歳の間に書かれたとされる作品。当然、20歳以前の年齢の少年が書いたとは思えない筆力が、作者の名声をより高めたのだろうと思うし、訳者のあとがきにもこうあります…

 『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ 訳:上田真而子/佐藤真理子

家庭内読書会「古典的名作を読もう」企画、第15回課題本。 繰り返し2回続けて読みました。 小学生と中学生の頃に映画「ネバーエンディングストーリー」を観ていますが、わたしはあまり学びのない子供で、自分の見ている映画に「原作」というものがあることも…